大腸の疾患②
大腸の疾患②

「突然の激痛、その後の下痢・血便。便秘がちな方は要注意です」
「お腹が絞られるように痛い!」と感じた直後に、トイレで真っ赤な血が出た……それは虚血性腸炎の典型的なサインです。大腸の血流が一時的に途絶えることで、粘膜が酸欠になり、ただれてしまう病気です。高齢者だけでなく、強い便秘がある若い女性(ダイエット中の方など)にも急増しています。
突発的な腹痛
多くの場合、左下腹部に強い差し込むような痛みが起こります。
下痢と血便
腹痛が起きた直後に下痢があり、その後、鮮血(真っ赤な血)が混じった便が出ることが多いです。
冷や汗・吐き気
痛みの強さから、自律神経が刺激され、冷や汗や吐き気を伴うことがあります。
見た目は派手で驚かれますが、多くの場合は手術を必要とせず、数日間の絶食と点滴(腸の安静)で治ります。ただし、大腸がんが原因で詰まっている可能性もあるため、回復後に内視鏡検査で腸の中を確認することをお勧めします。
「繰り返す下痢と血便。『難病』ですが、今はコントロールできる病気です」
潰瘍性大腸炎(UC)は、免疫システムが誤作動し、自分の大腸を攻撃することで、大腸の粘膜に慢性の炎症が起こり、びらんや潰瘍ができる疾患です。原因が特定されていない「指定難病」の一つですが、現在は優れた薬剤の登場により、多くの患者様が健康な人と全く変わらない生活を送ることが可能になっています。
本来、病原体から身体を守るはずの免疫システムが、何らかの理由で自分自身の腸粘膜を攻撃してしまう「自己免疫の異常」が主な原因と考えられています。遺伝的要因、欧米化した食事、腸内細菌の変化などが関与していると言われています。
繰り返す下痢と血便
数週間から数ヶ月にわたり、ゆるい便や血便が続きます。
粘血便
便に鼻汁のような粘液と血が混じったものが出ます。
しぶり腹
便意を強く感じるのに、トイレに行ってもあまり出ない不快感。
全身症状
重症化すると、発熱、貧血、体重減少、頻脈などが現れます。
診断には内視鏡検査が必須です。当院では、診断をつけるだけでなく、「寛解(症状がない状態)」を長く維持するための様々な薬を用いて治療戦略を検討しています。また発症から長期間経つと大腸がんリスクが上がるため、定期的な内視鏡検査も推奨します。
「大腸にできた『小さなポケット』。普段は無害ですが、牙を剥くことがあります」
大腸憩室症とは、大腸の壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出した状態(憩室)を指します。加齢や食生活の欧米化(食物繊維不足)により、現代の日本人には非常に多く見られる状態です。持っているだけなら無症状ですが、この袋の中でトラブルが起きると「憩室炎」や「憩室出血」といった、治療が必要な状態になります。
大腸憩室炎
憩室の中に便が詰まるなどして細菌感染が起こり、炎症が生じた状態です。「右または左の下腹部痛」「発熱」が出現することがあります。腸管安静や抗生物質で治療を行いますが、炎症が悪化すると、憩室に穴が開く(穿孔)や、周囲に膿が溜まる(膿瘍)といった重篤な合併症を引き起こすことがあります。
大腸憩室出血
憩室の底を通っている血管が破れ、腸管内に出血が起こる状態です。袋の中の血管が切れた状態。「痛みはないのに、突然大量の血が出る」のが特徴です。出血が止まったとしても再発しやすく、大量出血により貧血やショック症状を引き起こす場合もあります。
出血がある場合は、内視鏡で出血点を探し、クリップで止める処置(止血術)を行います。「お腹が痛い」「血が出た」という症状が、憩室によるものなのか、がんによるものなのか、自己判断は禁物です。必ず診察を受けてください。
お腹の不調や、便に血が混じるといった症状は、身体が発している重要なアラートです。特に、突然の強い痛みや血便を経験された際は、自己判断で「痔だろう」「冷えただけだろう」と決めつけず、当院を受診してください。適切な時期に正しい診断を受けることが、早期の回復と、将来の大きな病気の予防につながります。当院は、患者様の不安に真摯に耳を傾け、根拠に基づいた安心できる医療を提供することをお約束いたします。
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