食道の疾患
食道の疾患

食道は、口から胃へ食べ物を運ぶ、長さ約25cmほどの土管のような臓器です。「胸焼けがする」「喉がイガイガする」「なんとなくつかえる」……そんな症状を「年齢のせい」にして放置していませんか?食道は胃酸のダメージを受けやすく、炎症やがんが生じやすい場所でもあります。当院では内視鏡を用いて、その不快感の原因を判断しています。
「胸が焼けるように熱い、酸っぱい水が上がってくる」
逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流し、粘膜がただれてしまう病気です。食生活の欧米化や加齢、食べ過ぎ、早食い、食後すぐに横になる習慣、肥満、姿勢(猫背)などが原因で、近年急増しています。放置すると「咳が止まらない(喘息)」や「睡眠障害」の原因にもなり、生活の質を大きく下げてしまいます。
以下の症状を認めることがあります。
胸やけ
みぞおちの上あたりが熱くなる、焼けるような感じがする
呑酸(どんさん)
酸っぱい液体や苦い水が口まで上がってくる
喉の違和感
喉のつかえ感、イガイガする感じ、声枯れ
長引く咳
喘息のような咳が続く(逆流した酸が気道を刺激するため)
胸痛
胸の締め付けられるような痛み
内視鏡検査で「ただれの強さ」を確認し、重症度を判定します。 治療は、胃酸の分泌を強力に抑えるお薬が中心です。お薬を飲むだけで症状が改善することが多いので、我慢せずご相談ください。
「胃の一部が胸の方へ飛び出してしまう、逆流の『根本原因』」
食道と胃のつなぎ目は、横隔膜の穴(食道裂孔)を通っています。加齢や肥満、慢性的な便秘により腹圧が上昇するとこの穴が緩み、胃の上部が胸の方へ滑り出してしまった状態を「ヘルニア」と呼びます。これ自体は病気ではありませんが、「逆流性食道炎」を非常に起こしやすく、治りにくくさせる原因となります。
ヘルニア自体に自覚症状がないことも多いですが、胃と食道のつなぎ目の締め付けが弱くなるため、逆流性食道炎を併発しやすくなります。その結果、強い胸やけや胸の痛みを感じることがあります。また、大きなヘルニアの場合は、食後の膨満感や動悸を感じることもあります。
構造的な問題(ヘルニア)は薬では治せませんが、それによって起きる「胃酸逆流」の症状をコントロールすることは可能です。内視鏡でヘルニアの状態を確認し、適切な投薬と併せて生活指導(食べてすぐ横にならない等)を行います。
「食道の粘膜が『胃の粘膜』に変質してしまう、がんのリスク因子」
バレット食道とは、長期間にわたって胃酸の逆流にさらされ続けた食道が、身を守るために「胃のような粘膜(円柱上皮)」に変化してしまった状態です。バレット食道自体に症状はありませんが、この変質した粘膜から「食道がん」が発生するリスクがあるため、注意深い管理が必要です。
バレット食道自体に特有の症状はありません。しかし、その多くは逆流性食道炎の結果として生じるため、胸やけや呑酸を伴うことが一般的です。
バレット食道は「治す」ものではなく、「がんができていないか見張る」ものです。当院では、定期的な内視鏡検査を行い、ごくわずかな変化も見逃さないよう経過観察を行います。
「『飲み込みにくい』と感じた時は、進行している可能性があります」
食道がんは、お酒を飲むと顔が赤くなる方(フラッシャー)や、喫煙習慣がある方に多く発症します。初期の食道がんは自覚症状が全くありません。「食べ物がつかえる」「飲み込むと痛い」といった症状が出た頃には、がんが大きくなっていることが多いため、早期発見には内視鏡検査が不可欠です。
初期症状
自覚症状はほとんどありません。健診などの内視鏡検査で偶然発見されることが多いです。
進行期の症状
食べ物がつかえる感じ、飲み込む時の痛み、体重減少、背中の痛み、声枯れなどが現れます。
食道がんは、通常の内視鏡(白い光)では非常に見つけにくい病気です。当院では、特殊な光(BLI、LCI)や拡大観察を用いることで、粘膜の表面にある微細な血管の模様を浮き上がらせ、早期がんの発見に努めています。
食道の疾患は、初期段階では軽い違和感として見過ごされやすいのが特徴です。しかし、逆流性食道炎を放置することでバレット食道へ進行し、食道がんの発見が遅れるリスクもあります。「いつもの胸やけだから」と自己判断せず、症状が続く場合はお気軽に当院へご相談ください。苦痛の少ない内視鏡検査を通じて、皆さまの食道の健康を守るサポートをさせていただきます。
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