大腸の疾患①
大腸の疾患①

大腸は、便を作り排泄するだけでなく、ストレスや自律神経の影響をダイレクトに受ける「第二の脳」とも呼ばれる繊細な臓器です。便秘や下痢は、単なる体質ではなく、生活の質(QOL)を下げる病気です。また、その背後に大腸がんや炎症性腸疾患などが隠れていることもあります。「お腹の調子が悪いのが当たり前」になってしまっている方は、一度リセットするつもりでご相談ください。当院では、丁寧な問診と、必要に応じた大腸内視鏡検査(大腸カメラ)などを通じて、一人ひとりの症状に合わせた最適なアプローチをご提案いたします。
「『毎日出ない』だけが便秘ではありません。スッキリしないなら治療対象です」
慢性便秘症は、単に「排便の回数が少ない」ことだけを指すのではありません。「3日に1回しか出ない」だけでなく、「毎日出るけど硬くて痛い」「出しても残っている感じがする(残便感)」も立派な便秘です。市販の下剤(刺激性下剤)を長年使い続け、「薬がないと出ない体」になってしまっている方が非常に多く見受けられます。
以下の症状を認めることがあります。
排便回数の減少
週に3回未満の排便
排便困難感
便が硬くて出すのが大変、強くいきむ必要がある
残便感
排便後もすっきりしない、まだ残っている感じがある
腹部膨満感
お腹が張って苦しい、ガスが溜まっている感じ
当院では、腸を無理やり動かすのではなく、便に水分を含ませて自然に近い排便を促す新しいタイプのお薬(浸透圧性下剤など)を中心に使用します。「痛くない、クセになりにくい」治療で、自然な排便リズムを取り戻すお手伝いをします。
※急に便秘になった方は、大腸がんによる通過障害の可能性があるため、大腸カメラをお勧めする場合があります。
「通勤電車や会議の前に、急にお腹が痛くなる」
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome: IBS)は、血液検査や内視鏡検査では炎症や潰瘍などの目に見える異常がないにもかかわらず、腹痛を伴う便通異常(下痢、便秘、またはその交互)が数ヶ月以上続く疾患です。脳と腸はつながっているため、緊張やストレスが腸に伝わり、過剰に動いてしまうことで起こります(脳腸相関といいます)。20〜40代の若い世代に多く、仕事や学業に支障をきたすことも少なくありません。
症状の現れ方により、3つのタイプに分けられます。
下痢型
突然の強い腹痛とともに激しい下痢が起こる(男性に多い)。
便秘型
腹痛とともにコロコロした便になり、出にくい(女性に多い)。
混合型
下痢と便秘を交互に繰り返す。
いずれのタイプも「排便をすると腹痛が和らぐ」という特徴があります。
まずは「大腸がんや炎症性腸疾患ではないこと」を内視鏡などで確認することがスタートです。診断がついた場合は、腸の動きを整えるお薬や、漢方薬、食事指導(低FODMAP食などの情報提供)を組み合わせ、不安なく生活できるようサポートします。
「突然の激しい下痢・嘔吐。自己判断での『下痢止め』は危険です」
感染性腸炎は、細菌、ウイルス、寄生虫などが腸に感染し、炎症を引き起こす疾患です。いわゆる「食中毒」の多くはこれに含まれます。この場合、ウイルスや毒素を体内に閉じ込めてしまい、かえって症状が悪化・長期化する恐れがあるため、下痢止め(ストッパなど)を安易に飲むのは避けてください。
ウイルス性
ノロウイルス、ロタウイルスなど。冬場に流行しやすく、強い吐き気や嘔吐を伴うのが特徴です。
細菌性
カンピロバクター、病原性大腸菌(O157など)、サルモネラ、黄色ブドウ球菌など。夏場に多く、加熱不十分な肉(鶏肉のたたき等)や生卵が原因となることが多く、血便や高熱を伴うことがあります。
急性の腹痛
差し込むような強い痛み。
下痢
水のような下痢、時には粘液や血液が混じる。
吐き気・嘔吐
特にウイルス性で顕著です。
発熱・全身倦怠感
身体が病原体と戦っているサインです。
治療の基本は「脱水を防ぐこと」です。整腸剤や吐き気止めを使用しながら、ウイルスを出し切るのを待ちます。血便が出ている場合や高熱がある場合は細菌性の可能性が高いため、抗生物質の投与を検討します。
お腹の不調は、日常生活の質を低下させるだけでなく、「また痛くなるのではないか」という不安から、外出や食事の楽しみを奪ってしまうこともあります。慢性的な便秘、繰り返す下痢や腹痛、そして急な食中毒症状など、お腹に関する悩みがある方は、我慢せずに当院を受診してください。適切な診断と治療を行うことで、毎日の生活をもっと快適に過ごせるようサポートいたします。
TOP