胃・十二指腸の疾患①
胃・十二指腸の疾患①

胃や十二指腸は、ストレスやピロリ菌、お薬の影響を非常に受けやすい臓器です。「いつもの胃もたれ」だと思って様子を見ていたら、実は潰瘍やがんが隠れていた、というケースも少なくありません。当院では、症状や生活習慣、既往歴を丁寧に確認し、必要に応じて内視鏡検査などを行い、「症状の原因」を直接目で確認し、適切な治療へとつなげます。
「胃がんの最大リスク。感染しているなら除菌が必須です」
Helicobacter pylori(ピロリ菌)は、胃の粘膜に感染する細菌で、慢性的な胃炎の原因の一つとされています。自覚症状がないまま胃の粘膜を破壊し続け、「慢性胃炎」を引き起こします。
ピロリ菌による感染が長期間持続すると、胃の粘膜が慢性的なダメージを受け続け、徐々に粘膜が薄くなる「萎縮(いしゅく)」という現象が起こります。これが「萎縮性胃炎」です。「胃がんの畑」とも呼ばれ、ここから胃がんが発生するリスクが非常に高くなるため、胃がんの早期発見と対策が極めて重要です。
比較的若い方にみられることがある「鳥肌胃炎」は、胃の粘膜が鳥肌のようなブツブツとした炎症となっています。これもピロリ菌感染との関連が強く指摘されています。進行の早い「未分化型胃がん」のリスクが高いため、自覚症状がなくても内視鏡検査でのチェックが欠かせません。
内視鏡検査でピロリ菌感染の有無を診断します。感染が確認された場合、1週間の飲み薬による「除菌治療」を行うことで、将来の胃がんリスクを大幅に下げることができます。また除菌に成功したとしても、胃がんのリスクは残るため、定期的な内視鏡検査が推奨されます。
「みぞおちが痛い、黒い便が出る。それはSOSのサインです」
胃や十二指腸の壁が深く傷つき、えぐれてしまった状態です。健康な胃は粘膜バリアで守られていますが、「ピロリ菌」「痛み止めの薬」「強いストレス」などが原因でバランスが崩れると、自分の胃酸で自分を溶かしてしまいます。
みぞおちの痛み、空腹時痛、食後の痛み、吐き気、黒色便(タール便)などがみられることがあります。
黒い便(タール便)が出た場合は、潰瘍から出血している可能性があります。この場合、貧血症状(ふらつき、息切れ)が現れることもあるため、すぐに受診してください。
強力な胃酸抑制薬による治療が中心ですが、まずは内視鏡で「傷の深さ」と「出血のリスク」を確認することが重要です。出血を伴う緊急性の高い場合には、内視鏡を用いて止血処置(クリップで止めるなど)を行うこともあります。また必要に応じて、ピロリ菌の有無や服用している薬剤の確認といった原因検索も行います。
「なんとなく胃が重い、キリキリする。原因は生活習慣かもしれません」
びらん性胃炎は、胃粘膜に「びらん」と呼ばれる浅い傷が多発する状態です。潰瘍ほど深くは傷ついていないものを指します。
アルコールの過剰摂取、特定の薬剤(痛み止めやステロイド剤)、あるいは精神的・身体的に非常に強いストレスがかかった際(急性ストレス胃粘膜病変)などに多く見られます。
みぞおちの痛み、吐き気、胃部不快感などがみられることがあります。びらんからじわじわと出血している場合は、胃の中の不快感を認めたり、軽度の貧血を伴うこともあります。
内視鏡で「他に悪い病気がないか」を確認した上で、胃薬の処方や生活習慣のアドバイスを行います。「ただの胃炎」と自己判断せず、一度ご相談ください。
胃やみぞおちの不快感、痛み、食欲不振などの症状が続く場合や、症状を繰り返す場合には、早めに医療機関へご相談ください。胃や十二指腸の疾患は、自覚症状だけでは正しく判別することが困難です。内視鏡は、これらの疾患を直接目で見て診断するために非常に大事な検査であり、病変の早期発見や適切な経過観察に大きく役立ちます。
当院では、患者様一人ひとりの症状に真摯に向き合い、最新の知見に基づいた診断と治療を行っております。お腹の不調を「いつものこと」と諦めず、お気軽にご相談ください。
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